物事の身に着け方について①

ここで「身に着ける」とは単なる暗記ではなく、体系的な理解及びそれに基づいた周辺領域への応用力を意味しています。

昔からの私の持論ですが、「実務」→「教えること」→「問題作成」→「通常の学習方法」の順で効果があると考えています。

通常の講義では受講生にとって「実務」は無縁のことなので、ここでは「教えること」について焦点を絞って論を進めたいと思います。

「法律」の講義でアンケートの上位に来る講師の共通点として、徹底した具体例の活用ということが挙げられます。何人かの名物講師と呼ばれる方の講義を拝聴 した経験がありますが、総じて具体例の使用例が的確でした。雑多な具体例の羅列ではありません。根本的な趣旨・原理から演繹された具体例の使用でした。 「法律」の学習においては抽象的概念の理解は必要不可欠です。しかし、抽象的であるが故に初学者にとって理解は非常に困難です。そこでいかにして帰納的に 抽象的概念を捉えることができるかという具体例の重要性が浮かびあがってきます。アンケートでは「具体例が豊富で分かり易い」というレベルでの回答しか通 常は見受けられませんが、正確には「抽象的概念を帰納できる的確な具体例が豊富なので分かり易い」ということです。このような授業を展開するために講師は 絶えず演繹・帰納の両思考方法を用いて「法律」に触れているのです。そして、より体系的な理解を深めていくのです。

ここからが本論です。

講師だけが理解を深めていく、これはもったいないですね。是非受講生にも実践してほしいところです。

実践している所? ありますよ。「向学舎」です。徹底的に生徒に説明=教えさせます。講師の私は最低限のことしか伝えません。社長はそれすらもしていないかもしれません。決してサボっているわけではありません。教えた方がはるかに楽ですから。

現在完了ではhave=助動詞ぐらいしか教えていません。これで通常の助動詞との違う2点を説明=教えることができなければ、助動詞のイロハすら分かって ないということですから。あとは、参考書を読まして過去形と現在完了の違いを明確に説明できるかということがポイントです。「春が来た。」「辞書を失くし てしまった。」の具体例を見つけ出せて、過去形との本質的な違いー現在完了は結局現在についての文だということが説明できたら一応完成です。3用法の違い など読めばわかることですから。板書で3用法を説明し、生徒がそれを写す。これは単なる「作業」です。

この文章を書きながら思いだいました。帰納・演繹的思考方法は実践していますが、今年はまだ「帰納的」・「演繹的」という言葉の意味そのものは教えて、否、説明させていないことを。近日中に説明させます。また時間がかかりそうです。